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2012年11月15日 (木)

イザベラ・バードイザベラ・バードの日本紀行』時岡敬子訳

下巻は北海道でアイヌの村を訪ねます。これは貴重な民族誌になっています。

基本的に文明化されていない未開人という見方をしてはいますが、著者のアイヌへの眼差しは愛情に裏打ちされています。日本人よりも体型や容貌の点ではヨーロッパ人に近いところがあるためか、かなり親近感を持っています。

日本人に対してだけではなく、著者は感じたことを遠慮なく書くので、日本人の容貌は「醜い」とかしょっちゅう出てきます。しかし、旅を重ねるうちにだんだん見方が変化してきます。

「不平を言いたくなったとしても、車夫の相も変わらぬ人の好さ、明るさ、親切心を考えれば、そんな自分が恥ずかしくなります。この誠実な車夫と別れるのがどれほど残念なことか。彼の愛想のいい仕事ぶりや醜い顔、毛布を巻きつけた姿がどれほど恋しくなるでしょう。いいえ、とんでもない、彼は醜くなどありません! 誠実さと親切心で輝く顔が醜いはずはなく、私は彼を見るのが好きだし、いつか彼のことを『天国にいるような』子供のようだと形容する日が来ることを期待しています」(339-340頁)

こういう感じです。

それはそうと、当時せっかく賞賛を受けたにもかかわらず、今日、こうした誠実で明るく仕事をしている車夫のような日本人は少なくなっているのではないかという気がしないでもありません。隅々にわたって劣化しているのではないかという不安が頭をよぎります。

日本人、頑張れ! って私もそうですが、頑張らなきゃね。

(講談社学術文庫2008年1250円税別)

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