島田裕巳『神も仏も大好きな日本人』
そっかー、大好きだったんだ。言われてみてなるほどです。私も好きかもしれません。明治時代に神仏判然令が出るまで、鳥居も鐘も同居していたんですから、少なくとも仲は悪くなかったはずですが、廃仏毀釈運動以来、その痕跡まで期してしまったところが多くて、かつての姿を思い浮かべるのも困難になっているということが、本書によってはっきりと分かりました。
著者は、神仏習合の意義を、仏教が「神社の神域のなかに浄土を見出した」ところにあるといいます。
「仏教は神道の力を借りてはじめて、その信仰の目的となる浄土をこの世に出現させることに成功した」(94−95頁)
この見方は私にとって新鮮でした。さらに「そこに密教の右中間が関係を持つことによって、より複雑で壮大な宗教的世界が形成されていった」(140頁)とも言います。
昔から神社仏閣を見て、あるいは様々な宗派の葬儀を見て、護摩を焚くことの意味とか、疑問に思っていたこともいろいろと説明してくれています。
著者は神仏分離という事態が、日本人の多くが自己の信仰について「無宗教」と答えることに大きな影響があったと見ています。そうかもしれませんね。私は個人的には無宗教的な態度もひとつの宗教だと思っていましたが、神仏習合が二つに改めて引き裂かれたことによる「無宗教」だったという考えは、大変興味深いです。
著者の主張を念頭に置きながら、また神社仏閣そして仏像を見てまわると、いろいろ理解が深まりそうです。
(ちくま新書2012年760円+税)
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