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2012年12月13日 (木)

新渡戸稲造『武士道 BUSHIDO 』(須知徳平訳)

今年生誕150年ということで、年末に新渡戸稲造研究会という名の飲み会を企画していますが、せっかくですから、この機会に読み直しました。

昔、矢内原忠雄訳で読んだことがありましたが、本書は英文対訳になっていて、原書の英語を参照することができます。ときどき気になって英文を眺めてみましたが、英文は明快で、いいお手本になるように思います。

何より今日こういうかたちで海外に向けてメッセージを発信することのできるインテリが少なくなっている気がします。日本人が日本の文化について、外国人に説明し、説得しようとするという姿勢自体が稀有なものとなっています。

洋行帰りのインテリはたくさんいますが、しばしば国内で自分の語学力を自慢する方向でしかその知性が機能していない人を見かけます。

著者にしても、盟友の内村鑑三にしても、鈴木大拙にしても、その著作の半分以上が英文だったりするような人は、そもそものベクトルが正反対なのでしょうね。

新渡戸稲造の著作としては『西洋の事情と思想』が一番好きですが、本書もその姿勢をまずは学ばなければと、読むたびに思います。

それにしても、武士道自体は今やほとんど消えかけていますね。きょうびはヤクザの中にも残っていないようです。

一方本書を読みながら、武士道はむしろ日本の母親の中に案外息づいているのではないかという気もしました。案外職場でも女性のほうが義侠心があったりします。労働組合活動なんかをしっかり支えてくれるのもむしろ女性だったりしますから。

(講談社インターナショナル1998年1300円税別)

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