磯田道史『無私の日本人』
タイトル通りの人物が3名登場します。素晴らしい本です。それぞれの話がそれぞれに心打たれます。こんな人が存在したということだけでも、知ることができて、著者に感謝しないではいられません。
著者はあとがきで「こどもが、いつかよんでくれたら、という思いをこめて書きはじめた」と言っていますが、本当に子どもに読ませたい本です。世のため人のためここまで尽くした人たちがあったということを知れば、それに近づこうという人がかならず出てきます。
人間の道徳的な面での潜在能力も、こうして実例を示してもらえると、もっと高くなることでしょう。スケートの3回転ジャンプが、3回転半ジャンプとなり、4回転ジャンプと進化してきたように、道徳のレベルも上がっていくと、いい世の中になりそうです。
さらに徳の高い人は、周囲の人びとに影響を与えてくれます。この3人はみんなそうです。よくぞここまで発掘してくれたものです。
もちろん良い人ばかりが登場するわけではなく、えげつないお役人やら、小ざかしい学者なんかも登場します。今もこういうタイプ、いるいる、って感じです。荻生徂徠のえげつなさななんかも活写されていて、勉強になりました。ひえー、あんな人だったんだ。
一家に一冊常備薬代わりに置いておかれるといいと思います。
(文藝春秋2012年1500円+税)
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