太田猛彦『森林飽和 国土の変貌を考える』
今までぼんやりと信じていたことを、きっちりと覆してくれる本です。タイトルにあるように、現在のわが国は森林がむしろ多すぎるくらいなんだそうです。
江戸時代なんかには浮世絵を見てみると、木のない禿山がたくさん出てきます。その事情は明治時代に入っても同じで、古い写真を見るとたしかにそうだったことがわかります。
「日本昔ばなし」なんかには樹木の生い茂った里山の風景が出てきますが、ああいうのは実はアニメ用に作られたイメージで、江戸時代の里山は樹木がほとんどなく、ほとんど草山だったということもわかります(58-59頁)。
むしろ今や資源として使われなくなった里山がほったらかされて樹木が生い茂り、奥山になろうとしている途中だと考えられます。もちろん森林としては荒れています。
本書で面白いのは、もともとハゲ山の土が川に流れ、海に出てきて溜まることで、砂浜の海岸線ができていたのですが、ハゲ山の減少により、そういう土砂の量が減ってきてしまったことで、ハゲやあの現象により海岸線自体が変化をしているというところです。
里山だけではなく、海岸線も防災の観点から対策と整備を怠るわけにはいきません。本書はそうした点についても様々な具体的提言がなされています。いい本です。
(NHKブックス2012年1100円+税)
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