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2013年1月 9日 (水)

ジョゼフ・T・ハリナン『しまった! 「失敗の心理」を科学する』栗原百代訳

これは失敗の実例をとことん集めた本です。考察は昨日とりあげた本のほうが深いですが、これは目的が違うからでしょう。本書は間違いのカタログになっていて、その対処法までが具体的で平易に述べられています。

現在、間違いとその対処についての原稿を書いていて、印象に残る実例は引き合いに出したいと思っていますので、個人的には有益な本です。

いくつか引用しておきます。

「人間は、誤りを犯しそうなときは、むしろ『行動を起こさない』という誤りを選ぶ」(81頁)

「[私たちは]内心は自分は他人より上だとうぬぼれながら生きている。そして、そのうぬぼれが多くの過ちの種を宿している」(199頁)

「奇妙なことに課題がむずかしくなればなるほど、自信過剰のレベルは下がるのではなく上がる傾向がある。逆ではないのかと思われるだろうが、そうではない。困難な課題にあってこそ自信過剰さはもっとも高まるのだ」(215頁)

「企業経営者は自分がもっとも精通していると思うこと――つまり自分の事業にかんする判断で、決まって自信過剰さを見せるのだ」(222頁)

ちなみに、著者は組織に適切なフィードバック機能があれば、こうしたミスをカバーすることができるとも言っています。これは重要な指摘です。ただ、できない組織が多いとは思いますが。

自信過剰への反証を常に求め、体験談よりも平均値を重視し、睡眠不足に気をつけ、小さな幸せを大切にする生活をしていると、結構ミスは防げるようだという主張は、当たり前にも聞こえますが、実行するのは結構大変ですね。世の中から間違いが減らないはずです。

(講談社2010年1500円税別)

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