« 『ウィトゲンシュタイン全集9 確実性の問題・断片』黒田亘・菅豊彦訳 | トップページ | 北村英哉・大坪庸介『進化と感情から解き明かす社会心理学』 »

2013年2月13日 (水)

ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』村井章子訳

1962年に書かれた本なのですね。今でも古びていません。アイデアに満ちた名著です。そのアイデアがなかなか実行されず、未だに新鮮だというのは残念なことでもあります。

中でも「教育バウチャー」と「負の所得税」は今でもすぐ実行して欲しいと思います。教育バウチャーは親に支給して、気に入った教育機関に親が持って行くという仕組みです。負の所得税は課税対象所得が少ない場合には政府からその分の現金が支給されるというものです。

どちらも間に余計な機関が挟まらないので効果的ですが、この間の機関が既得権として利得を手放さないので、こういう斬新な考えはなかなか実現できないのでしょうね。

わが国は1962年当時のアメリカで著者が批判している様々な政府の介入をむしろ肥大化させた国家になっています、農産物の買取保証や産業規制、社会保険や年金制度、様々な職種の免許制度は、当初はアメリカに習ったのでしょうけれど、今や日本でガラパゴス的進化を遂げています。

これをどうにかしないと、今後は今までのような経済成長もありえないと思います。

者は第5章でケインズ政策および金融政策で経済を活性化させようとするいわゆる今日のリフレ派も批判していますが、フリードマンに対してリフレ派が学問的にどのような反論をしたのかをわかりやすく教えてもらうと、個人的にはありがたいです。

経済学者はお互いに論争相手の勉強不足を罵って、馬鹿にしてばかりなので、外野からはにわかに判断がつきません。ほんとはどうなのよって、いつも思います。

本書も高橋洋一が解説を書いていますが、自説との対立点には触れていません。むしろこの人選自体、何か悪い冗談かと思ったくらいです。

とはいえ、そうこうしているうちにリフレ派が推すアベノミクスの効果もだんだん明らかになってくるとは思いますが、バブリーなのは参院選まででしょうかね。

(日経BP社2008年2400円+税)

|

« 『ウィトゲンシュタイン全集9 確実性の問題・断片』黒田亘・菅豊彦訳 | トップページ | 北村英哉・大坪庸介『進化と感情から解き明かす社会心理学』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。