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2013年3月12日 (火)

小林信彦『唐獅子株式会社』

昔買って一度読みかけてそのままになっていた本ですが、ふと本棚から引っ張りだして読み始めました。1970年代後半の世相が懐かしく思い起こされます。しかし、今の人は何を風刺し、パロっているのかわからないことが多いと思います。

著者の世代の教科書にとりあげられていたランボーの小林秀雄訳とかも出てくるので、著者がたまたま私の母と同世代だということもあって、個人的にはよくわかりますが、これがまた余計今の若い人にはわからないんじゃないかと心配になります。

それで今頃本書を読んでいると、何だかとても懐古的でマニアックな笑いになるようで、なぜだか少し申し訳ないような気にもなってしまいます。同窓会の課題図書にしたいような本です。

とはいえ、たぶん今の若い人でもこの小説で著者の想像力が暴走する快感はきっと感じられると思います。それでも十分すぎるくらい可笑しいので、ま、いいんじゃないでしょうか。

本書は連作小説になっているのですが、最初は単発の短編で終わる予定だったようです。しかし、連作の形をとってから、筆がどんどん勢いづいて来るのが感じ取れますし、著者が楽しんで書いているのがよくわかります。

こういう小説世界を作れるなんて、うらやましいですね。論文のようなものを書かなくても、この中で十分言いたいことが言えてしまえそうです。いつか私もこの手法で人間の愚かさについて書いてみたいものです。

(新潮文庫昭和56年480円)

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