榊博文『マインドコントロール式説得術』
社会心理学を応用した説得術の本です。社会心理実験の成果がたくさん紹介されていながらコンパクトな新書にまとまっていて、社会心理学の入門書としてもおすすめです。(私の授業をとっている学生諸君は読んでおくように。)
社会心理学と言っても、著者の語り口が平易で親しみやすいので、決して学問学問した感じになりません。こういう語り口を見習いたいものですが、なかなか見習えないものです。ついわかりにくいことを書いてしまいがちな自分を反省しないわけにはいきません。
最終章の「マインドコントロール式説得術を実践する」ではケーススタディのように具体的に書かれていて参考になります。特に「自分より地位が上の人を動かす」というテーマは、常日頃自分の抱える問題でもあるので、いろいろと考えるヒントが得られます。
それにしても、理事長の気持ちまでを動かすのは至難の業です。提案が伝わるだけでもどうかすると何年もかかったりしますから。組織の体質の問題もありますし、なかなか一筋縄では行かないものです。
その一方で、なかなか説得に応じない人が、誰が見ても詐欺師然とした人間にいとも簡単にだまされたりするのを見ていると、説得交渉という世界の奥の深さを感じないわけにはいきません。
鍵は人間の欲望ですね。小説に書いた方がいいのかもしれません。
(マイナビ新書2012年830円+税)
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