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2013年4月26日 (金)

ホッブズ『哲学者と法学徒との対話―イングランドのコモン・ローをめぐる』田中 浩・新井 明・重森 臣広訳

ホッブズの立場が鮮明に示されている法制度論です。

法は立法者の意図が統一的にあらわれたものとして解釈され、
適用されるべきだという立場です。

この点で、立法者が国王であっても、議会であっても、
ホッブズの立場は同様に一貫しています。

コモン・ローというのもホッブズはむしろ、
ほとんど理性の別称だと考えているようでもあります。

ホッブズがここまで体系的法思想家だったのかと、
ちょっと驚かされますが、考えてみたら、かのリヴァイアサンの主張は、
国王を中心とした強靭な法治国家を確立すべしというものなので、
やはりこれでいいいんだということがわかります。

ホッブズはこれをベタな体制派知識人として述べているのではなくて、
むしろ、法制度の絵空事的性格、つまり、フィクション性を十分意識した上で
徹底して考え抜いて発言しているように思われます。
「さしあたりだれでもいいから誰かがこの役をやってくれなきゃ困るでしょう」
とでも言いたそうな感じです。劇団の座長みたい。

ホッブズの感覚は近代的で、かつ徹底したリアリストです。
今日の法哲学者の誰よりも面白いと思いますが、
法哲学プロパーの人にはあまり人気がないようです。
保守反動に映るからでしょうか。
それとも面白すぎて自分が喰われちゃうからでしょうか。

(岩波文庫2002年792円税込)

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