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2013年5月 9日 (木)

ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』

タレブのエキセントリックなノリは『ブラック・スワン』に先立つ本書ですでに全開だったんですね。最初から思いっきり飛ばしています。

本書はウォール街のトレーダーたちの生き方も活写されていて、この恐ろしい環境の中で、タレブの人生観と思想が培われてきたことがよくわかります。

たとえば、7年間勝ち続けたあとの1週間ですべてを失うトレーダーの勝ちが、偶然の積み重ねだったに過ぎなかったりする様子が、おそらくは架空の登場人物について語る手法で描かれます。

人間の愚かさの見本市ですが、自分もまた例外でないことをタレブは本当によくわかっているから、こんな本が書けるんですね。

細部のエピソードや言及されている本も参考になります。

本の最後に、「どんなときでも、sapere vivereの(「人生を悟った」)態度を示すのだ」(301頁)という序言は、偶然性を格闘してきた著者ならではの言葉で、説得力があります。

「レイディ・フォルトゥナ[運命の女神]の意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ。幸運を祈る」(同頁)

(望月衛訳ダイヤモンド社2008年2000円+税)

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