西加奈子『白いしるし』
帯に「極上の失恋小説」と書かれていましたが、本当にそうでした。これほど熱烈な恋の一部始終が、とことん深くかつ爽快に描かれているとは思いませんでした。
ネタバレになってはいけないので詳しくは書きませんが、著者の小説らしく最後にスピード感のあるカタルシスも用意されていて、主人公をしっかり救ってくれます。読後にいい余韻がいつまでも残る感じです。
他の登場人物二人のそれぞれのこれまた辛い恋愛も実にうまく織り込まれていて、唸らされました。あざとい感じにならないところも見事です。
そうそう、昔、女友だちが、こんな痛々しい恋愛をしていた記憶が蘇って来ました。最近ご無沙汰していますが、わざわざ連絡をとって、この小説を勧めるのはやっぱり罪でしょうか。それともむしろいいことなのでしょうか。
まあ、迷うくらいなら何もしないほうがいいとタレブが言っていましたから、その言葉に従うことにしますが、実はもうとっくに読んでいたりするのかもしれません。
それにしても、つくづくすごい作家だと思います。新作の『ふる』も読まなくでは。
(新潮社2010年1300円税別)
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