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2013年6月 9日 (日)

佐野誠『99%のための経済学【教養編】 誰もが共生できる社会へ』

著者が良い人すぎて肌に合いません。

私も新自由主義を支持するわけではありませんが、
小泉政権以来の新自由主義がマスコミを通じて
国民を洗脳しているとは見ていません。

マスコミはもっと定見がないでしょう。

言うまでもなく、誰もが共生できる社会というのは理想ですが、
本書ではその経済学的根拠は十分に触れられていないので、
詳細については本書の理論編を読まなければいけないようです。

著者が洗脳されやすい国民を教え導いてくれるなら、
それはそれで素晴らしいことですが、
立場やイデオロギーの異なる人びとの言い分を

対話的に検討するようなスタンスではないのが気になるところです。

もうひとつ気になるのは、
著者自身がマスコミの情報を結構うのみにしているところです。
「アラブの春」や「ミャンマーの軍事政権」についての
一方的な味方は朝日の報道のまんまですし、
アメリカ合衆国の標記を「合州国」とするのは
本多勝一の見解のまんまです。

これって著者の言う洗脳ではないでしょうか。

たとえば高島俊男の見解も並べて検討したというようには
見えないのが残念です。

真面目でいい人なんでしょうけどね。

そういう人ほど自分と近い立場のインテリの言うことを
あまり疑わずに信じこんでしまいがちです。

もちろん、理論編が理論的にどうなのかは別問題ですし、
それに、共生の経済というのが実際可能なのかということにも
興味がありますので、いずれ読んでみるつもりではいます。

(新評論2012年1800円+税)

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