キャス・サンスティーン『熟議が壊れるとき―民主政と憲法解釈の統治理論』那須耕介編・訳
サンスティーンはセイラー教授との共著もあるので、読者を楽しませる技術には期待できるのではないかと思っていましたが、本書は実務家・研究者としての面目躍如たるものがあり、思いっきり難しい専門論文でした。
この難しさはアメリカの学会および政治状況の複雑さを反映しているのでしょう。ロールズやドゥウォーキンの議論難しさと共通するところです。どうやら彼の地では、ああ言えばこう言う人たちがひしめいているので、議論の予防線を張るだけでも大仕事になるようです。
集団極化や司法ミニマリズム批判といった問題設定は魅力的なので、研究者にとっては読まなければバカにされそうですし、読んでみると退屈ですし、どうしましょうという感じです。
しかし、このあたりを引用しようかと思って読んでいくと、それらしいところは見つかりやすいように構成されていて便利ではあります。
研究者には優しい本ですが、アメリカの司法に興味がなく、法哲学の議論にも明るくない一般読者にとっては、最後まで読み通すのはつらい本だろうと思います。
(勁草書房2012年2800円+税)

