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2013年7月18日 (木)

渡辺京二『日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和へ』

いやー、すごい本でした。妄想的マルクス主義史観の網野さんなんかは徹底して批判されています。

著者自身の名著『逝きし世の面影』に至るまでの近世史が熱く語られています。

応仁の乱あたりの日本社会が残虐と混乱を極めていたことを改めて教えられるとともに、徳川中期から打って変わったように平和な国民性を獲得したように見える日本人の心性の不思議さが浮き彫りにされています。
笠原宏至や勝俣鎮夫、藤木久志といった歴史家への評価は高く、彼らの業績に依拠しながらも、著者の言いたいことを自在に展開しているように見えます。

最後にカール・ポランニーの所説も引き合いに出されていて、また、その解釈も実に腑に落ちるものだったので、ちょっと驚かされました。人類史において元来社会に埋め込まれ自己調整機能を持っていた市場が、すべてを商品に転化する「悪魔の挽き臼」と化してしまったという理解です。

著者はこの歴史上の裂け目を経験する以前の、徳川から明治初期にかけての時代を「逝きし世」として活写していたんだなということを、本書で初めて確認できました。

これは著者の他の本も読まなきゃ。

(洋泉社2011年900円+税)

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