福島香織『中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実』
以前中国人留学生の中に二人農村戸籍の学生がいて、周囲から徹底して差別されていました。一人が体調が悪くなって倒れても他の学生たちは誰も助けようとせず、そこまでするかと思ったことを覚えています。
農村戸籍のまま中国の都会で働く「農民工」は中国の目覚ましい経済発展を支えてきたのですが、その農民工も第二世代、第三世代になってくると、随分気質が変わってきているようです。
本書はいつもながら現地で丹念に取材を重ねて書かれたルポルタージュで、人びとの生の声を拾ってくる取材力には感心させられます。
それと、これもいつもながらのことですが、著者の取材相手に対する自然な敬愛の情が感じられ、読んでいる方もほっとさせられます。
中国の経済発展は国内に農民工という奴隷制を抱え込んでいることによって成り立って来ました。その農民工が徐々に変化しつつあるとき、中国社会も根本的に変わっていくのかもしれません。著者は言います。
「第二代農民工のその数とエネルギーは、ひょっとすると中国を変えていく力になるかもしれない。集団の行動力で環境を変えるというストライキ成功体験が企業の外にも向かい、中国の社会構造を変えていこうとすることもあるかもしれない。そのとき、日本企業は彼らの市民としての目覚めを後押ししていくことは可能なのか」(215頁)
儲けることばかり考えていては、連帯はできないでしょう。企業に義を期待することができるようになるのは、日本社会がこれまでの殻を破って成長したときでしょうね。そんな日が来る夢はまだ持っていたいと思います。
(PHP研究所2013年1,400円+税)
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