西尾広弥『味毒三昧 探偵小説で学ぶ、大人の男の英文読解講座』
ハードボイルドにはまったく疎かったのですが、素敵な本書を手引きとしてこれからちょっとずつ読んでいこうと思います。
ハードボイルド系の探偵小説には、粋な主人公が出てくるな、くらいの知識しかありませんでしたが、ハイデガーの哲学やバークの政治哲学からの引用も適切になされていて、驚かされます。
お酒や食事や房事についてもこだわりが半端ではないのが「大人の男」の小説なんですね。なるほど。朝飯なんか大変な量を食べてますね。
著者のことは個人的に存じ上げていますが、短大の先生なので、教育上の配慮からか、本書はペンネームで書かれています。
軟派な面だけでなく、ところどころに現代文明批評も散りばめられていて、これはまさしくハードボイルドです。たとえばこんなところ。
「利益という名の欲で経済がまわり、そこで頭角を現したものが社会をリードし政治を動かしているのが今の世の中だとは、皆が知っていることだ。でも、その流れに押されながら踏みこらえて、欲ではなく愛とか、志とか、信条(真情でもいい)とかを礎に生活を築き、周囲と関わろうとしている人々がいて、かれらのお陰で世の中がなんとか生きていける場になっているのだということくらい、40年、世の中で本当に生きてきた人なら、皆、分かっている」(30頁)
著者ご自身が、武術と酒と小説を愛する野武士のような人物です。奥さんはアメリカ人だそうですが、さては奥さん、武士に惚れたな、とか勝手に思っています。
取って付けたようで申し訳ないですが、英語と英語圏の文化についての解説も大変勉強になりました。こちらの面でもお勧めです。
(2012年文芸社1,200円+税)
取って付けたようで申し訳ないですが、英語と英語圏の文化についての解説も大変勉強になりました。こちらの面でもお勧めです。
(2012年文芸社1,200円+税)
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