« Arnold Benett, HOW TO LIVE ON 24 HOURS A DAY | トップページ | ケルゼン『デモクラシーの本質と価値』 »

2013年10月 1日 (火)

ジェイン・ジェイコブズ『経済の本質 自然から学ぶ』香西泰・植木直子訳

2001年に出た翻訳書『経済の本質』の文庫版です。原著は2000年刊。

著者は自然が単純な系統から順次発展するのではなくて、様々な要素の相互作用の中でいわば複雑系として発展、変化していくのと同様に、経済も複雑系としての特徴を備えていると言います。

したがって「発展、拡大、持続可能性、修正という自然法則にそって仕事を進めれば、人々はいまもっているものよりももっと確実に反映する経済を、そして人間以外の自然ともっと調和のとれた経済を、つくりだせる」(30頁)

と、登場人物の一人に語らせています。本書は小説仕立てなので、登場人物の台詞がそのまま著者の思想というわけではありませんが、これは一つの理想ではあります。

他方で著者は複雑系の動きを予想できないこともよく知っているので、「将来を予測し形成できると思った人々が企てた不発弾が、経済史には充満している」(220頁)といいながら、「試してみなければ何が有効化を経済は見いだせない」(同頁)とも述べています。

こうして登場人物たちの話は対立や強調を重ねながら、最後にこうした表現に行き着きます。

「経済生活によって、われわれは文化や目的を実現するための多くの用途を発展させることができる。そして、私の意見では、それがわれわれにとって経済の最も意義深い機能なのだ」(232頁)

著者に大きな宿題を出されたような読後感です。でも、著者の言うように自然に学んで、理論を過信せず、人びとがそれぞれの持場で物事を着実に進めていけば、活路は見いだせるだろうという希望は見えてきます。

(日経ビジネス人文庫2013年1000円+税)

|

« Arnold Benett, HOW TO LIVE ON 24 HOURS A DAY | トップページ | ケルゼン『デモクラシーの本質と価値』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。