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2013年10月13日 (日)

セルジュ・ユタン『英米哲学入門』

白水社のクセジュ文庫の図書館用特装版を以前どこかで入手していたのですが、出勤前にふと本棚で目について手に取りました。

良い本でした。今まで読まなかったのはもったいなかったです。でも、今読んだからわかったところもありますし、このまま本棚で眠らせておかなくてよかったと思います。

ここ数年、ベーコンやJ.S. ミルをあらためて読みなおして感心しているところだったので、なおさらそう思うところがあります。

著者は言います。「英米哲学は《深みがない》といって非難するむきがある。だがこの避難は全然あたらない。ホッブズ、バークリ、ヒューム、ホワイトヘッド、ろいす、パース――行き当たりばったりに名をあげただけでも――こういう人たちは決して《深みのない》人ではない」(143頁)

全くそのとおりで、こういう人たちは確かに読めば読むほど味があります。それと、とりわけイギリスの思想家には大陸合理論の生真面目な哲学者立ちとはちょっと趣が異なり、そこはかとないユーモアが感じられるのが気に入っています。

著者はフランス人ですが、英米の哲学者たちへの愛情に満ちた筆致で、ポイントをしっかりおさえながらも言いたいことを言っています。力がある人でなければできない技です。

アメリカのパースやジェイムズ、サンタヤナやM.R.コーエンにもきっちり目配りがなされていて、アメリカ哲学史としても啓発されました。

(野沢協訳白水社1975年600円)



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