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2013年10月27日 (日)

ジョン・R ・サール『心の哲学』山本貴光・吉川浩満訳

デリダ−サール論争で名前だけは聞いていましたが、今まで読んだことはありませんでした。言語行為論の系統の人なので敬遠していましたが、読んでみると滅法面白かったです。

やはり食わず嫌いは損しますね。

本書の前半はデカルト流二元論と唯物論の批判で、これは明快で痛快でもありました。

後半は自身の立場を展開することになるのですが、こちらの方はやはりそう簡単な話ではないようで、いろいろ議論の余地があることを本人も承知しながら書いているので、決して読みやすくはありませんでした。

意識の問題を三人称ではなくて一人称の視点から構築しようとするのは、着眼点として実に素晴らしいものがあります。この着想だけで一生退屈しないで済みそうです。

ただ、一般読者に理解してもらうのはなかなか骨が折れそうです。

専門的議論を噛み砕いて説くのはかなりの気力と体力のいる仕事だからです。

しかし、面倒くさい議論の中からも、英米系の哲学者がロックやヒュームに関して論じてきた学問的蓄積に大変なものがあることをあらためて教えてもらいました。

翻訳はよくこなれていると思いますが、アスペクトとかそのまんま言われるのはちとわからないですね。dispositionを「傾向性」と訳すのは、そもそも傾向性という言葉自体が気持ち悪いので、これもパスです。「傾向」ではいかんのでしょうか。

わがままな読者ですみません。

(朝日出版社2006年1800円+税)

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