聖トマス『形而上学序説 有と本質について』高桑純夫訳
聖トマスが若いころに書いたと言われる形而上学の序説です。
所々にアヴィセンナを引き合いに出していて、かなり影響を受けていることがわかります。
形相とか実体、質量とかについての議論はアリストテレスの用語を消化した上で、キリスト教的な明確な立場からの展開が見られます。
その事が確認できたら、個人的にはもう十分なのですが、この粘り強い論理に付き合っていくと、それはそれで感心させられるところがあります。
無類の倫理観に裏付けられた、そして、自己顕示欲の全くないハイデガーみたいな感じがします。
まあ、格が違いすぎますけど、聖トマスには不思議な爽やかさがあります。
中公世界の名著シリーズもこれでようやく読む気になってきました。
と思って本棚を見ても、それらしいのは持っていませんでした。うーん、勘違いだったかなあ。
(岩波文庫1935年、1990年第7刷、310円)
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