イツァーク・ギルボア『意思決定論入門』川越敏司+佐々木俊一郎訳
われわれがこれこそと思って意思決定する事柄がしばしばものの見事に外れていることを教えてくれる本です。
個人的には第二章の行動経済学や社会心理学の研究成果をまとめたところが授業に使えるのでありがたいです。
第三章の統計データの理解については、馴染みのない数式や記号が出てきて大変ですが、よく見るとそこはかとなくわかってきます。しかし、自分の理解に十分な確信が持てないので、そのうち何かで調べてみるつもりです。
人間の「間違い」については近いうちに教科書にまとめたいと思っていますので、本書にはこれからも何度もお世話になりそうです。
問題設定−解説というスタイルの書き方で、読みやすいです。いつも持ち歩いてパズルを解くように問題を考えるという読み方もできます。
「練習問題」も付いていて楽しいのですが、正解はついていないので、あくまで自分で考えなければいけません。ま、それも楽しいかも。
それはそうと、本書を読むことで意思決定において典型的な間違いをしなくなるという著者の希望もあるようですが、やっぱり人間は愚かなので、そう簡単には行かないような気がします。
タレブみたいに、いい加減さや気まぐれを楽しもうというメッセージのほうが気楽であることは確かです。
(NTT出版2012年2800円+税)
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