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2014年1月22日 (水)

ロバート・B・チャルディーニ『影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく』岩田佳代子訳

わかりやすく面白い本です。

他人を説得する場合の様々な手練手管のメカニズムが、恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性という6つの視点から分析されています。

ところがどっこいです。本書は非常勤先の学生にも薦めておいたのですが、全体の三分の一ほど読み進めたところで、これはその後次第に「あれ、どこかで読んだような気がする」という感覚が...。
最初は社会心理学上の有名な実験が取り上げられているせいかと思いましたが、なんのことはない。ご本人の『影響力の武器』(誠信書房)第二版の内容といくつかの話題を除いてほとんど同じでした。

翻訳文はこちらのほうがスムーズで日本語として実に読みやすいです。読み物としてなら本書の方がいいと思いますが、文献注がないのと、まとめや練習問題のような記事がない分、研究志向の学生には不便です。

原著のタイトルは同じですが、副題が違うので、原著もそれぞれ別の版元から出されているのかもしれません。紛らわしいですね。

著者はセールストークに何度も引っかかった経験から社会心理学の研究を志すようになったそうですが、この本については江戸の敵を長崎で討つ方に回ったのかもしれません。

慶應の学生さんごめんね。

今なら本屋で平積みで、翻訳を見比べることもできます。読み物として選ぶか資料として選ぶかですが、研究者志望の人は原書も買わなきゃですね。

学問には金がかかる場合があるということで、あとはよろしくご判断ください。

(SBクリエイティブ2013年1800円+税)

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