中谷宇吉郎『科学の方法』
いい本です。今まで読まなかったのが悔やまれます。
でも、今読むことができたのでよかったと思うことにします。
自然科学の方法の勘どころが実にうまく表現されています。
いろいろな実験の結果から推定しながら公理を立て、学問を組み立てていくという方法が印象に残りました。
とりわけ印象に残ったのは数学の意義を描き出している次の箇所です。
「基本的な自然現象の知識を、数学に翻訳すると、あとは数学という人類の頭脳を使って、この知識を整理したり、発展させたりすることができる。したがって、個人の頭脳ではとうてい到達し得られないところまで、人間の思考を導いていってくれる。そこにほんとうの意味での数学の大切さがある」(121ページ)
数学というのは理論の純粋系でもあるので、次のような箇所も興味深かったです。
「すなわち理論がその価値を発揮する場合は、この例[数学の例]のように、知識を整理することによって、普通の人間の考え及ばないところまで、思考が深められ、それによって新しい知識が得られ、次の発展を促すという場合である。ここまでいって、はじめて理論が、ほうとうの価値を発揮するのである」(175ページ)
このあたり、今書いている教科書にも使わせてもらうつもりです。
一家に一冊どうぞ。
(岩波新書1958年760円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント