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2014年4月16日 (水)

西加奈子『ふる』

いつもながら、こんな微妙なところに文学を見出すのか、と驚かされます。

既視感のない、しかし、だれでもどこかで知っているはずの世界に連れて行ってくれる作品です。

一昨日読んだ『舞台』よりも、こちらのほうが一年前に発表されています。

『舞台』では羞恥心と自意識の塊のような29歳の男性が登場しましたが、こちらは人付き合いの中で過度に他人を傷つけまいと気を遣う28際女性の気持ちが実に細かいところまで書かれています。

その主人公が作品の中で一つ大人になるというか、一歩進んだステージに立てるようになります。

刺さる言葉も出てきます。いい作品です。

著者は毎年1冊位の割合で書き下ろし小説を発表していて、そこではいつも独特の濃密な小説世界が紡ぎだされています。

今年も楽しみです。

(講談社2012年1400円税別)

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