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2014年5月14日 (水)

増田四郎『歴史学概論』

10年以上前になりますが、通信教育の歴史学を担当したときに読んだ本です。

やはり名著です。

現代歴史学に対して地域史研究の持つインパクトだけでなく、その問題点までもがきっちり抑えてあり、袋小路に入り込んでしまった現代歴史学の窮状を予言していたところもあります。

研究者を志す人に向けて書かれた概論ですが、研究者向けという窮屈な感じがしなくて、むしろ、一般読者に対しても開かれたものになっています。おそらく、著者の精神の闊達さゆえのことでしょう。

ところで、私こと、この4月から急遽ピンチヒッターで学部の歴史学の非常勤をしていますが、もう一人の先生と分担して古代から現代まで、ヨーロッパの歴史も日本の歴史もまとめて講義しています。

学生諸君は熱心に耳を傾けてくれていて本当にありがたいことですが、シラバスを見た他の専任教員からは「これは歴史学じゃない」と批判されているそうです。どうやらその先生は学部の歴史学は一般的な歴史学概論のような内容でなければいけないと思い込まれているようです。その人が歴史が専門というわけでもないのですが。

とはいえ、一般的な概論で15回も授業をしたら、教養課程の学生にとっては苦痛以外の何物でもなくなります。今のように熱心に耳を傾けてはくれないでしょうね。

クレームをつけてきた教員が本書のような名著をもしも読んでいる人だったら、もっと歴史学に対する考え方が柔軟なはずなんですが、読んだことはないのでしょう。もちろん、私としてはそういう頭も心も硬い人は放っておいて、自分の担当回の授業で学生たちを楽しませることに専念するつもりです。
政治力のある教員なので、この科目も前期限りになるでしょう。

でも、この機会に再度名著に触れられたのはありがたいことでした。

(講談社学術文庫1994年960円税別)

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