マイケル・トマセロ『ヒトはなぜ協力するのか』橋彌和秀訳
人は生後14〜18ヶ月くらいから誰に教わるともなく他者を援助し、それに先立つ生後12ヶ月の言語が未発達の段階でも、指差しによって他者に情報を提供し援助をしようとする、というのが、著者トマセロの実験からわかってきたことだそうです。
こうした援助および協力行動は、後天的に社会的な教育を受ける前から人だけに備わっている特徴だとトマセロは主張します。
人類だけが類人猿とは異なる複雑な規範と社会を作り上げてきた理由の一端はこのほとんど先天的といっていいような協力行動の能力にあるようです。
本書はこの著者に批判的な立場からの4つのコメントも堂々と述べられたシンポジウムが元になっていて、内容的にもうまくバランスがとれています。
立場の如何を超えて、読者が考える材料を公平に提供してくれます。
翻訳文も自然で読みやすく、いい本でした。
(勁草書房2013年、2,700円+税)
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