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2014年8月 8日 (金)

カレン・フェラン『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』(神埼朗子訳)

単純な内幕暴露本ではなくて、ちゃんと前向きのアイデアも展開されているいい本です。

著者自身コンサルタントとしての失敗も決して隠すことなく、この業界のえげつないやり方とそれを嬉々として受け入れる企業の愚かさについて、公正に記述されています。

本書では、著者の指摘を待つまでもなく、多くの専門家がすでに次のことを確認していることがわかって有益でした。

・業績給やインセンティブ報酬は・・・×
・数値目標や指標付きの目標も・・・×
・年次業績考課、特に評価スコアを付けることは・・・×
・会社が成功するには優れた戦略が必要・・・証明されていない
といった感じでまとまっています(307ページの表)。今日の経営学では常識なのかもしれませんね。

結局、人のマネジメントをうまく行うには優れた対人スキルが必要で、何よりいろんな形でみんなが話し合うことが重要のようです。まるで十七条憲法のようです。

そして、リーダーシップで「大事なのは、スキルや長所を最大限に生かしつつ、訓練したり欠点を補ったり、あるいはチームを作ることによって弱点を補うことだ」(259頁)とあります。

実に常識的ですが、これが大会社ではだんだん曲がってくるということがあることもわかります。

これとは別に、マッキンゼーなどの推奨する方法、すなわち、「社員をA,B,Cの3つのクラスに分類し、扱いに差をつける。Aクラスの人材(上位10~20%)には多額の報酬を与え、できる限り裁量権をもたせる」(Cクラスは指導または解雇)といったやりかたでAクラスが不正に手を染めて潰れたのがエンロンなんだそうです(204-206頁)。

エンロンとは比べ物になりませんが、やはり他山の石としたいです。

翻訳文は読みやすくてよかったです。

(大和書房2014年1600円+税)

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