石川幹人『人はなぜだまされるのか 進化心理学が解き明かす「心」の不思議』
人間の心理をめぐる不合理な現象を、生物的な進化の過程で発達し、受け継がれてきたものと考えると、多くのことが説明がつきやすくなります。
500万年前頃から動物として進化していった段階では、例えば蛇を恐れたりするようになり、300万年前頃からは狩猟採集生活を始めたので、集団的協力が必要となします。
そして、1万年前に農業が発明されるとともに人口が爆発的に増加し、定住し、都市を形成するようになりますが、この短い期間に進化として新たに加わったものはおそらくほとんどなく、それ以前の狩猟採集生活で身につけたものを組み合わせて対応しているようです。
この進化心理学という分野は、ダーウィンの再評価に基いて心理学の基本的味見方が形作られているという感じです。ダーウィン嫌いの人には受け入れがたいところもあるのかもしれませんが、基本的な枠組みがすっきりしていて、門外漢にはむしろわかりやすくていいと思います。
最も国民の過半が進化論を信じないというアメリカのような国もあるので、欧米では案外風当たりが強いのかも知れません。この点では日本は宗教的には無風状態なので、進化心理学の議論は抵抗なく受け容れられるような気がします。どちらかというと追い風が吹いているかもしれませんね。
本の内容もわかりやすく、この分野の代表的実験などを散りばめながら、優しく説かれていて好感が持てます。ブルーがックスシリーズにふさわしい良書です。
(講談社2011年820円税別)
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