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2014年9月28日 (日)

ヘーゲル『哲学入門』武市健人訳

ヘーゲルの著作の中では本書を一番繰り返して読んでいます。あと、『小論理学』もですが、特に本書は概念と理念の関係について実に味わい深い表現を与えてくれているので、原初の該当ページをコピーして文庫に挟み込んで、対照させながら読むと時間を忘れます。

このあたりのことは本書は『小論理学』よりも明解ですし、大部の『大論理学』には詳細に展開されているかと思うと、実は期待しているような記述が出てこなかったりします。例えば、

「概念は一面から云えば主観的であるが、また一面では客観的である。理念(Idee)は主観的なものと客観的なものとの統一である」(158頁)

「理念は十全な概念(der adäquate Begriff)である。そこでは客観性と主観性は同じである」(290頁)

こういうところをアリストテレス以来の形式論理学との異同や思想史的な背景をある程度踏まえた上で読んでいくと、ヘーゲルというのはつくづく大胆というかアクロバチックなことを考えていた人だったんだなと感心させられます。

もっとも、感心はさせられますが、ヘーゲルは哲学が文章として読みにくくなったきっかけを作った人でもありますので、ヘーゲルの呪縛力のある文章の影響圏を脱し、ここは私自身が何に感心しているかということをできるだけわかりやすくまとめることでヘーゲルの亡霊に対応したいと思います。

とりあえず明日の講義の準備をしている時に気になったので読みましたが、ちょうど今取り組んでいるカント以来の当為と存在の論理についての問題にも深く関わります。このあたりの議論をわかりやすくするのは骨が折れますが、やり甲斐もあります。自分で言うのもなんですが、面白い本になりそうです。

(岩波文庫1952年)

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