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2014年10月17日 (金)

水島広子『整理整頓 女子の人間関係』

一見して通俗的な心理学書のたぐいかと思ったら、中身はしっかりした本でした。

タイトルどおり女子必読ですが、これは男性も読んでおいたほうがいい本です。

女子の問題の本質は著者によると「主に外見によって『選ばれる』という受動的な立場に置かれていることにある」(28頁)といいます。つまり相対評価の世界に生きているわけですから、男性でも職場での昇進や権力奪取を巡って同じ問題が生じるわけです。

なるほど、男性の場合に女性の陰湿さと同じことが起こるのは「選ばれたい」人たちに特徴的なのかもしれません。心当たり、あります。上司に選ばれ、周囲の女性に選ばれて当然と思っているのに現実がそうでないと、恥も外聞もない取り乱した行動を取るという男性を何人も知っています。

ある人なんか、匿名の嫌がらせの手紙を送ってみたり、ライバルと目する同僚の給与明細を間違ったふりして盗み見たりとか、女性の前でやたらと自分の手柄自慢をしてみたりとか、我を忘れてやってしまうんです。幸いそうした奇行は組織トップの耳にまで入っているので、今後共評価されることはないのですが、この種の人間が間違って昇進してしまう場合があると、これまた必ず権力を濫用します。

こういうのって、基本的に女性的といえば女性的な振る舞いだったんですね。

さて、それはともかく、本書は多くの実例を分析し、巻き込まれず、自分を守り、相手を癒してしまうという3つのステップが提示されます。これがどれもよく考えられていて感心させられます。

周囲の嫌な女性は大概この中のどれかに当てはまり、上述の女子的男性への対処にもしばしば応用がききます。

根本的には自分自身が「さっぱりしていて、温かく、後腐れがなく、嫉妬もせず、裏表がなく、正直で、誠実で、一貫性があって」(43頁)という人間になること=「女度を下げる」ことが、女性はもちろん、男性にも求められています。

そういう女性があらゆる女性に好かれるのは、著者によれば「これは、傷ついた存在である『女』を安心させる姿勢だから」(43頁)だそうです。出発点で女性は傷つくことの多い、つまり選ばれなかったという感情を持ちやすい存在なのですね。

各論の具体的なアドバイスもセリフとともに示されていて、いろいろと納得させられます。

わざとらしく褒めて相手を値踏みしようとする「女」に対しては「そんなふうに言ってくれて本当にありがとう」と、言ってくれたこと自体にまずはお礼を言うことで、相手に感謝を伝えつつ、相手の値踏みに巻き込まれないようにすることができる、とか、なるほどです。

また著者は、嫁姑の問題は女性同士の問題として扱うのではなく「夫がきちんと考えて決定しなければならない」(161頁)性質の問題だと喝破します。

目からうろこの本です。

(サンクチュアリ出版2014年1300円+税)





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