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2015年2月28日 (土)

R.P.ファインマン『物理法則はいかにして発見されたか』江沢洋訳

これはうわさ通りの名著でした。

物理学の基本的な問題から、量子力学と素粒子の話までが、研究史や具体的な実験例を引き合いに出しながら説明されていて、実によくわかりました。

もっとも、巻末の50ページほどの著者のノーベル賞受賞講演での量子電磁力学の話題は、数式が難しくて飛ばし読みしました。

それはともかく、本書のように、門外漢にも「わかった」という実感を与えてくれるのはありがたいことです。

と同時に、物理学者という人たちがどういった思考回路で日々物質の不思議、世界の不思議に取り組んでいるのかということも書かれていて、興味深いです。

自分の専門とは遠い世界ですが、あらためて敬意を表さずにはいられません。

なんだかよくわからないけれど、すごいと言われているものを敬して遠ざけることと、どんなふうにすごいことなのかがわかった上で敬意を表するのとでは、自分の世界の広がり方がずいぶん違います。

その点で本書は世界を広げてくれることまちがいなしです。

一家に一冊どうぞ。

(岩波現代文庫2001年1300円+税)

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2015年2月27日 (金)

大井正・寺沢恒信『世界十五大哲学』

ネット上で評判が高かったので読んでみました。

なんと、マルクス主義的立場から書かれた哲学史でした。

今読むと、社会主義時代のハンガリーで読んだ哲学・思想史を思い起こさせられて、懐かしい感じがします。

思想的立場がはっきりしているので、ある意味わかりやすいですし、この思想家にはこう来るだろうなと思ったとおりのことが書かれています。

当然マルクスの評価が高いですが、中江兆民やチェルヌイシェフスキーなんかが選ばれていて、新鮮でした。デューイなんかも高い評価が与えられていて、意外性があります。

サルトルが選ばれていてハイデガーが外されていたりするのは予想通りですね。

でも、イデオロギーで断罪することを避け、公平さを保とうとする努力は買えます。細かい評伝の部分などの記述にも教えられるところが多かったです。

(PHP研究所、電子書籍版)

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2015年2月26日 (木)

ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』今井茂雄訳

タイトルどおりのストレートな本で、この分野の古典と言われています。

たしかにすぐに読めますが、大変啓発的で、刺激的な内容でした。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(28頁)

とありますが、この言葉はいろいろな著者から引用されています。というか、本書が元だったんですね。

印象的だったのは、アイデアを形にしていく最終段階で「理解ある人々の批判を仰ぐこと」の大切さが強調されていることです。

良いアイデアは自分で成長する性質があると著者は言います。そのため、最後に多くの人びとが手を貸してくれて磨きをかけられるというところが、グループ・ジーニアスの問題へもつながって、興味深かったです。

本書の解説の竹内均の仕事ぶりの凄まじさもまた興味深かったです。二十数年間で二八〇冊の本を書いているそうですが、一日三ページ書いたらそうなったとのことで、見習って私ももっと頑張んなきゃという気になってきました。

(阪急コミュニケーションズ1,988年円+税)

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2015年2月15日 (日)

日本説得交渉学会2015年第1回講演会・研修会

本学会では本年より企業および一般市民向けの連続講演会・研修会を開催いたします。
 第1回は以下の要領で行われます。お近くの方は是非足を運びください。
          記
日時 平成27年3月14日(土) 14:30~17:00
会場 慶應大学三田キャンパス 南校舎 447教室
演題 1.「外見力は仕事力」(その1)14:30-15:30
     株式会社アルマインド 代表取締役 柳田貴子
    2.「苦情対応の実践とテクニック:苦情対応における心理的メカニズム」(その1)15:35-16:35 
     柴田CSマネジメント株式会社 代表取締役 柴田純男
参加費 1000円

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2015年2月 9日 (月)

『ドイツ語で読む珠玉の短編 対訳 目に見えないコレクション・広間にて・パン』諏訪功

NHKラジオドイツ語講座のテキストに連載されている読解・対訳記事をまとめたものです。今連載されているのはケストナーの『飛ぶ教室』ですが、連載が完結してしばらくたら、こうして本にまとめてくれるので楽しみです。

本書はヴォルフガング・ボルヒェルト「パン」、シュテファン・ツヴァイク「目に見えないコレクション」、テーオドア・シュトルム「広間にて」の3作品が収録されています。

ボルヒェルトの作品は現代的でちょっと痛々しい短編。ツヴァイクの作品はダールの短編と似た味わいがありました。オチのあるお手本のようにうまい短編です。シュトルムの「広間」は老人の回想のなかに世代を異にするいろんな人が登場するという、意外に斬新で印象的な作品でした。

シュトルムは『みずうみ』で知られていますが、未読です。これをきっかけにいずれ読んでみることにします。

対訳なのに、ドイツを原文をほったらかして日本語だけ読んでしまったので、感想だけ先に書いておきます。これからドイツ語の勉強のために電車の中で原文の表現を確認することにします。

(NHK出版2012年950円+税)

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2015年2月 4日 (水)

マルコム・グラッドウェル『天才! 成功する人々の法則』勝間和代訳

原書で読み始めてまもなく、翻訳が出ていたことを知りましたが、あまり評判の良くない勝間和代の訳ということで敬遠して、原書を読了したことがあります。

このたび原書の一部を原稿に引用したので、訳書に触れないわけにもいかず、まあ、怖いもの見たさで読んでみました。

訳文は悪くないと思います。原文と対照させて読んだわけではありませんが、日本語として引っかかるところもなく通読できましたので、いいんじゃないでしょうか。

amazonの書評は著名人憎しでボロクソ書いているのがたくさんありますが、あれは言いがかりに近い気がします。テレビなんかに出てくる有名人は、こんな仕打ち受けるのかというひどさです。

本の内容については以前も書いたので(何を書いたか覚えていませんが)、ここでは触れませんが、全体にグラッドウェルらしく驚きのエピソードと発見に満ちています。話の展開が実にスリリングで見事です。

いい本です。元気が出てきますよ。

(講談社2009年1700円税別)

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2015年2月 3日 (火)

ジャック・フォスター『新装版 アイデアのヒント』青島淑子訳

著者は広告の仕事でいくつもの賞をとってきたそうで、さすがにそれだけのことはあります。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせだという著者の主張自体は新しいものではありませんが、アイデアを生み出す具体的なコツがきっちり書かれています。

古今東西の先人の例もふんだんにとりあげられていて、いっそう説得力を増しています。

楽しい本でした。

もっとも、楽しくアイデアを生み出すことができるようなら、一人前なんでしょうね。

アイデアが求められていない職場は少ないでしょうから、本書は一家に一冊常備薬として置いておかれるといいと思います。気分が明るく前向きになれます。

職場の会議も著者が提案するように、そのうち屋外でやってみたりするといいかもしれません。

(阪急コミュニケーションズ2003年1400円+税)

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