上田紀行『スリランカの悪魔祓い イメージと癒しのコスモロジー』
いやー、予想に違わずいい本でした。
「癒し」という言葉は著者が本書で使い始めたことに端を発するんですね。
それにしても、文化人類学のフィールドワークでスリランカの悪魔祓いを見て回った著者は、この悪魔祓いのもつ癒しの力のいわく言いがたいところを絶妙に言語化してくれています。
著者は「イメージ」と「つながり」という二つの要素が私たちの生命力を活性化させてくれると言います。そして、悪魔祓いはこの活性化の技術が凝縮された祝祭・演劇空間なのですね。
私の師匠の中村雄二郎が『魔女ランダ考』でバリ島の祝祭・儀礼について書かれていたこととテーマが共鳴しています。知的関心の広さも似ていますし、ちょっと懐かしさを覚えました。
読者の思考と感性を大いに刺激してくれる本ですが、同時にこの読書体験そのものが大いなる癒しにもなってくれます。その点でも見事な本です。
私も著者の考えに共鳴しながら、イメージの共有ということについて考えていきたいと思います。
(講談社文庫2010年676円税別)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント