« 上田紀行『生きる意味』 | トップページ | 中村桂子『知の発見 「なぜ」を感じる力』 »

2016年1月25日 (月)

内村鑑三『宗教座談』

内村鑑三の『キリスト教問答』は私の愛読書の一つですが、本書は小品ながらまたそれとは少し趣が異なる優れたキリスト教の入門書です。

特に本書では『キリスト教問答』に詳しく書かれていなかった霊魂について展開されていて、新鮮な驚きがありました。

印象に残った箇所を以下に引きます。

「霊魂とは何であるかというに、、精神でもなければ、感情でもなければ、意思でもなければ、またいわゆる生命でもありません、霊魂とはこれら以上のものでござまして、他にその好い詞がありませんから、まずこれを自我と申しましょう、すなわち霊魂とは肉体は勿論、すべての感情、すべての意思の主でございます、・・・言い換えて申せば人の本位でありまして『私』といい、『貴方』というは私の霊魂または貴下の霊魂を指していうのでございます」(78頁)

内村に言わせると、霊魂=soulであり、その救い主がほかならぬキリストなのです。

「キリストは医者でもなければまた政治家でもございません、彼の天職は霊魂の救主たる事でありまして、彼の為されし仕事の性質から申しても彼は人間中には比類のない者でございました」(85頁)

「霊魂は実にその友として、またその父として、その救主として、宇宙万物の造主なる唯一無二の活ける真の神の愛を要求いたします、これなければ彼は死んだものです、これあれば彼は彼の欲するすべてのものを獲たものです」(107頁)

もう一つ。

「すなわち永生とは神を知り、神の遺ししキリストを知る事でございます、これを言い換えて見れば、キリストに顕れたる神の愛を信仰を以って我が霊魂に同化するという義であります、キリスト教の伝うる永生なるものはかくも明白なるものでございます」(109頁)

天国と天国での「政治」の話も具体的にイメージされた興味深いものでした。

入門書の体裁がとられていますが、一通り読んでみると、実はその内容は論理の直球勝負による情熱的な理論書とでも呼ぶべき本でした。

(岩波文庫2014年540円+税)

|

« 上田紀行『生きる意味』 | トップページ | 中村桂子『知の発見 「なぜ」を感じる力』 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。