中村桂子『生命誌とは何か』
生命誌=ライフ・ヒストリーというのは魅力的な試みで、地球上の生命38億年の歴史であると同時に、著者のいう「生命を基本とする社会」(12章)に向けての将来構想も含まれています。
社会科学分野に興味のある人も必読です。
著者のいう生物共通のパターンとは次のようなものです。
1 積み上げ方式(鋳掛け屋方式)
2 内側と外側
3 自己創出(最初は自己組織化)
4 複雑化・多様化
5 偶然が新しいものを
6 少数の主題で数々の変奏曲
7 代謝
8 循環
9 最大より最適
10 あり合わせ
11 協力的枠組みでの競争
12 ネットワーク
というもので、社会学の諸現象にも共通するものがあります。まあ、人間という生物が社会を作っているわけですから当然といえば当然ですが、これを言語化することは重要です。社会学者がぼやぼやしているうちに抜かれてしまったのかもしれません。
生物学に興味のある娘のためにと思って買ってみたら、様々なヒントに満ちていて、私のほうが勉強になりました。もちろん、生物学の話もその起源からヒストリーとして展開されていて読み応えがあることは言うまでもありません。
生物学に興味のある娘のためにと思って買ってみたら、様々なヒントに満ちていて、私のほうが勉強になりました。もちろん、生物学の話もその起源からヒストリーとして展開されていて読み応えがあることは言うまでもありません。
この生物に共通の12の特徴からさらに「偶然が必然となり、必然の中に偶然がある」「巧妙、精密だが、遊びがある」といった7つの側面が描き出されますが、それは本書を読んでもお楽しみということで。
(講談社学術文庫2014年940円税別)
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