吉本ばなな『イヤシノウタ』
何気ないように見えなくもない日常の生活をじっくり味わい、観察し、熟考して書かれたエッセーです。
心にしみます。
考えて言葉に表していることと、その言葉の先に著者自身にもひょっとしたら見えてはいないかもしれない(けれど感じている)世界の広がりと深さは相当なものです。
お父さんの魅力もそういうところにあったので、いいところを受け継がれたんだなあと感心させられます。
お父さんの難しい文章ではなく、それに先立つ感じ方と、ものの見方を受け継がれたんでしょうね。
何の変哲もなさそうで、いいリズムのある文体は真似できません。いわく言いがたいところに手が届いてくる感じです。
こんな風に文体と思考が一致している人って意外といないもんです。地に足がついていて、かつ深いのが魅力的です。
何度も読み返したくなる本です。
(新潮社2016年1400円税別)
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