天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』
スピリチュアル系のエグいところが一切ない素直な神秘思想です。
著者はソニーでCDを開発したりしてきた優秀な技術者で、同時にその道の追求も重ねてきた実践家・啓蒙家でもあります。
「宇宙の仕組み」というのは古代インド哲学のブラフマンみたいな感じでしょうか。
ユングやライヒ、さらにデヴィッド・ボームの思想とも共鳴されていて、おお、そんな展開もあるのかと感心させられます。
実証できる分野ではありませんが、いろいろと示唆的な本です。
私が一番感心したのは、著者が実践する瞑想の方法で、その方法と境地が具体的に書かれているところでした。
いろんな幻覚が見えたのを悟りを開いたと勘違いする、いわゆる「魔境の体験」、著者の言葉では「聖なる体験」に注意しろというところです。
かつてのオウム真理教はこれを薬を使ってまでして、洗脳の道具にしていましたが、そのポイントがこれだったんですね。
というわけで、心理学あるいは宗教社会学的にも示唆に富む貴重な記述がありました。
哲学でもこの曰くいい難いところに近いところにいるのが、パスカル、ベルクソン、アラン、ヴェイユあたりかなという感触を得たところです。このあたり、次の私の本でうまく言語化できるように考えておきます。
(サンマーク出版2002年524円+税)
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