イノベーションとジョーク
今書いている本から、ジョークとイノベーションの関係について論じているところをご紹介しておきます。
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ヨハンソンによると、創造のプロセスが笑いのプロセスと似ていることは、ハンガリー出身の作家、A.ケストラーが指摘していたことだそうですが 、確かに、異なる概念を組み合わせることによって新たな概念を生み出すところは、ジョークの仕組みと似ています。
ケストラーは著書(『創造性』)の100頁以上を費やして笑いと創造の関係を分析していますが、あまりにも真面目に論じられている上に、そこでとりあげられているジョークもそれほど面白くないので、他(ジェレミー・タイラー)からとってきた短いジョーク をいくつか挙げてみましょう。
— 犬が逃げちゃったんだ。
— 新聞広告を出したらどう?
— 何言ってんだ。犬は新聞読めないだろ!
「僕は今まで思い上がっていたけど、今はもう完璧だ!」
(父が息子に)
「お前、話を大げさにするなって、何百万回言わせるんだ!」
— すべてを手に入れた人に何を与えますか?
— 同情心です。
(医者と患者)
— 先生、私、ずっと自分が犬になったような気がしているんですが…
— いつからそう感じるようになったんですか?
— 子犬のころからです。
(医者と患者)
— 先生、私、ずっと自分が犬になったような気がしているんですが…
— では、診察台に横になってください。
— 台には上がるなって言われているんです。
(2人の男が一緒に通りを歩いていて、一人が急に立ち止まります)
— なんてこった、妻と愛人が話をしている!
— ええっ! それは僕の台詞だ!
このように論理をずらすことや、会話のやりとりから思いもよらなかった事情や滑稽なイメージを連想させるところがジョークの面白いところですが、その仕組は異なる概念を新たに結びつける行為と重なってくるところがあります。
したがって、「交差点」となるべき場所が、たとえば産業界の未来がかかっているからといって、冗談の一つも言えないような、生真面目な真理追求の場とかいったものになってはいけないことがわかります。
なお、このついでにサットン(「マル上司、バツ上司])による毒の効いた切り返しのジョークもご紹介しておきます。もっとも、使い方次第では友だちがいなくなるかもしれませんので、ご用心ください。
— ほかのみんなもそうしてます。これがこの業界の標準なんですよ。
— だったらクソを食えよ。ほかのハエもみんな食ってるぜ 。
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