即興演奏覚書
ジャズアドリブ入門その2 ペンタトニックよりヘキサトニック
*勤務先のブログに載せる原稿です。こちらにも同時に掲載しておきます(転載じゃないからね)。
以前ジャズの即興演奏の入門として、ブルースの中で6つの音2種類を使って細かいコード進行を期にせずにメロディーを奏でる方法をご紹介しました。その2種類というのは、ハ長調(C)のブルースの場合は、
1 メジャー・ブルース・ヘキサトニック:ド・レ・ミ・ミ♭・ソ・ラ
2 マイナー・ブルース・ヘキサトニック:ド・ミ♭・ファ・ファ♯・ソ・シ♭
この2種類を長調のブルース12小節の中で交互に組み合わせて用いると、かなりのバリエーションを付けることができます。ブルース音階というのはアフリカの民族音階の一種でもあるので、その物悲しい旋律は西洋音楽の調性を超えて曲を支配するパワーがあります。特に2のマイナー・ブルース・ヘキサトニックは強烈な個性を持っていて、長調の和音の上でも調性を損なわずにメロディーをブルース的な色合いに染めてしまいます。
なお、この2種類を12キー全部覚えるのは大変だと思われるかもしれませんが、1のCメジャー・ブルース・ヘキサトニックをラから始めると、実は2のAマイナー・ブルース・ヘキサトニックと同じ音の並びになりますので、実際には音階練習として考えると半分の12種類で事足ります。
また、ブルース以外の曲でも1曲の中で大きな転調がなければ、この1と2の二種類を使い分けるだけで間に合ってしまう場合が少なくありません。ジャズのスタンダード曲の中でも”Take the A Train”や”There Will Never Be Another You”などはこれで十分おしゃれでブルージーな演奏になります。今はYou Tubeの伴奏動画やカラオケ演奏のアプリなどもありますので、ブルースである程度アドリブができるようになったら、これらの曲も試してみてください。
しかし、この6つの音では多すぎると感じる人は、1のミ♭とラだけを使ってみてください。これだけでもカウント・ベイシー・オーケストラの雰囲気を醸し出すことができます。ペンタトニック(5音)ではなくて6度(ラ)を加えたヘキサトニックによる奏法を提唱したジャズピアニストの西直樹はさすがだなと思わされます。
このラの音(6度)の粋な雰囲気をうまく組み合わせたアドリブについては、また別の機会にご案内いたします。
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